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ドクター&ナースのつぶやき

令和6年9月号

オン資確認 

在宅サポート ながさきクリニック
 院長 長崎 修二

 去年から私はサイバー大学という日本初のフルオンライン大学の学生となった。学生証も持っており、学割も利く。ついでに高齢者特典カードも持っている。これを提示すれば割引サービスを受けられる。便利なものだ。
さて、「オン資」ということばがわが医療の業界でよく使われるようになった。
おんし?恩師?はじめてその言葉を聞いた時にわたしが思いついた名詞はそんなものだった。
やがて話の文脈からそれが「オンライン資格確認」のことだと気づいた。
一般の人が聞いたら「オンライン資格確認」とはそもそもなにもの?ということになるかもしれない。
オンライン資格確認とは健康保険証をもっているかどうか、その種類およびその資格期限が有効かどうかの確認をインターネット(オンライン)を介したIT(情報技術)を使って行うというものらしい。いままでは紙の印刷物である保険証を医療機関の窓口だしていたものをデジタル化したカードにしてしまい、それをカードリーダーで読み込ませてデータを管理しようということだ。紙(従来の保険証は紙の印刷物)ではなくて電子化(デジタル)しようという動きだ。
なるほど、昨今あらゆるもののデジタル化が大流行している。IOT(モノのインタネット)と呼ばれているもので世界をスマート化(デジタル化による利便性の向上)するということだそうだ。家電や自動車などに組み込まれている小さなマイクロコンピュータを外界の大きなインターネットにつなげてしまおうという発想らしい。
IOTは確かに便利だ。これを「スマート化」というらしい。
そもそも日本の医療は世界でもユニークな質を保っているというのが国際的評価のようだ。その特徴は国民のほぼ全員が医療保険に入っているという国民皆保険とその保険証1枚があれば全国津津浦浦どこの医療機関にも自由にかかることができるというものだ。紙1枚持ち歩けばいいことなので、それが特に不便ということも無いような気がするが、とにかく国は、このオンライン資格確認の仕組みをかなり強力に、いやほぼ強引に推し進めようとしている。国には日本のデジタル化が世界に比し遅れているという危機感があるらしい。
そこで医療界にもオンライン化(オンライン診療やオンラインでカンファランスなどなど)を進めようというわけだ。
しかし、進歩の背後にそれに乗り遅れ利便性の確保どころか取り残され不利益を被る人が一定数いるというのが歴史の明らかにしているところだ。
それは端的にいえば高齢者などのデジタル弱者だ。デジタル化の進行によるデジタルデバイド(分断)の顕在化によりその弱者も増えて行く。弱者への眼差しは医療の本来の原点の一つであるはずだ。そうすると、オンライン資格確認をはじめとするデジタル化、スマート化を手放しで喜んでいるばかりでいいのだろうか・・・・・。

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