ドクター&ナースのつぶやき
令和8年6月号
地域との関わり
ーはろうず訪問看護ステーションの実践ー
はろうず訪問看護ステーション
管理者 松嶋 秀明
はろうず訪問看護ステーションでは、利用者様のご自宅を訪問する
だけではなく、地域全体を支える視点を大切にしています。訪問看護は、医療・介護・福祉をつなぎ、地域で暮らす方々を支える“つなぎ役”としての役割も担っていると感じています。
在宅療養の現場では、体調の変化だけではなく、生活の中にある不安や孤独にも向き合うことが求められます。特に夜間は不安が強くなり、「これで大丈夫だろうか」と感じる時間帯でもあります。私たちは24時間365日の対応体制を整え、「困ったときにまず相談できる存在」であり続けたいと思っています。この“つながっている安心”が、ご本人やご家族の在宅生活を支える大きな基盤になっているのだと日々感じています。
また、私たちは地域の中で医療と介護をつなぐ役割も担っています。訪問診療医、ケアマネジャー、介護職、薬剤師など多職種と連携しながら、利用者様一人ひとりにとって最適な支援が継続できるよう日々調整を行っています。日々の訪問の中で得られる生活の情報やご本人の想いを多職種へつなぎ、支援の方向性を共有する“ハブ”としての役割も意識しています。
その中で、特に印象に残っている出来事があります。ある独居の利用者様が、夜間に不安を感じ、何度か電話をくださることがありました。最初は体調面の相談が中心でしたが、次第に「なんとなく不安で……」という言葉が増えていきました。私たちは単に症状を確認するだけではなく、その方の生活背景や不安の原因にも目を向け、多職種と情報共有を行いました。訪問頻度や関わり方を見直していく中で、徐々に夜間の不安は軽減し、「ここに電話すれば大丈夫」という安心につながっていったように思います。
この関わりを通して、訪問看護には医療対応だけではなく、“安心そのものを支える役割”があることを改めて実感しました。
また、別の利用者様が、人生の最終段階において「もう一度お風呂に入りたい」と話されたことがありました。それは特別な願いではなく、その方にとって当たり前だった日常の一部だったのだと思います。私たちは多職種と連携し、安全面に十分配慮しながら、その想いを実現することができました。入浴後に見せてくださった穏やかな表情と、ご家族の安堵した様子は今でも印象に残っています。
「その人らしく生きることを支える」とはどういうことなのかを、私たち自身が改めて教えていただいた出来事でした。
さらに、私たちはアドバンス・ケア・プランニング(ACP)にも力を入れています。「どのように生きたいか」「どのように最期を迎えたいか」というご本人の意思を丁寧に引き出し、多職種で共有することで、その人らしい生き方が最期まで尊重される支援につなげたいと考えています。加えて、地域に向けた発信や学びの場づくりにも取り組んでいます。講演活動や勉強会を通じて訪問看護の役割や在宅医療への理解を広げるとともに、地域の医療・介護関係者との顔の見える関係づくりにも努めています。地域全体で支え合える体制づくりは、これからの在宅医療において欠かせないものだと感じています。
私たちは、訪問看護が地域医療を支える中心的な存在になれると考えています。生活の場に最も近い場所で関わり続けるからこそ見えること、つなげられることがあります。はろうず訪問看護ステーションでは、これからも地域の中で人と人をつなぎ、その人らしい人生を支える訪問看護を実践していきたいと思っています。
