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ドクター&ナースのつぶやき

令和8年9月号


独居高齢者の食事支援について                         

若松区医師会訪問看護ステーション
管理者 境 亜希子 


私たちが訪問している地域、北九州市は高齢化率が約31.5~31.7%と、政令指定都市のなかでも最も高い水準となっています。65歳以上の一人暮らし世帯は、11万世帯を超え、さらに年々増加しています。
独居高齢者が増加する中、訪問先でも「食事を簡単に済ませるようになった」という声を耳にする機会が増えています。週末には離れて暮らす家族が訪問し、食事を作り置きしてくれる方もいます。しかし、平日は一人で過ごすため、カップ麺や総菜だけで食事を済ませてしまう日が続いている方も少なくありません。
「ちゃんと、おいしく食べてくださいね」とお伝えすることは簡単ですが、毎日一人分の食事を準備することは、年齢を重ねた方にとって、決して簡単ではありません。
だからこそ「手軽に食べられるものを、どうすれば少しでも栄養がある食事にできるか」「食事に彩を添え、目でも美味しい『ごちそう』になるか」を一緒に考えることも、訪問看護の役割のひとつだと思っています。
栄養バランスの良い食事は、特別な調理を必要とするものばかりではありません。例えば、総菜にカット野菜のサラダや豆腐を一品加える、カップ麺にゆで卵や冷凍野菜を加えるなど、ちょっとしたひと工夫で栄養価を高めることができます。また、同じカップ麺やレトルト食品でも、減塩食や高たんぱく食など、健康に配慮した商品を店頭で見る機会も増えてきました。「カップ麺はダメ」「毎日きちんと食事しましょう」ではなく、その方の生活の中で、無理なく続けられる方法を一緒に探していくことが大切だと思います。

また、認知症のある方への支援も重要な課題となっています。同じ食品ばかりを購入したり、食事を召し上がったことも忘れてしまうことで、栄養バランスが偏るケースもあります。
訪問介護サービスや配食サービスの利用は、とても有効な支援方法です。しかし、利用時間や費用面などの理由から、十分な支援に繋がらないこともあります。そのような時、ご本人の生活習慣や認知機能に合わせ、冷凍食品やレトルト食品を上手に活用しながら、「これならできそう」という方法を一緒に考えます。
食事は、栄養を摂るだけのものではありません。
買い物をする・何を食べるか考える・楽しみなもの。その人の暮らしが詰まっています。
だからこそ私たちは、食事内容だけでなく、買い物や調理、食事環境を含めた生活全体を捉え、多職種と連携を図りながら、その方らしい生活を支えていきたいと思います。
生活ごと支えることが、私たち訪問看護の役目だと思っています。

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