ドクター&ナースのつぶやき
令和6年1月号
医療が必要な子どもたちの育ちを支える訪問看護
小児の訪問看護ステーションにこり・NPO法人にこり
代表 松丸実奈
NPO法人にこりは、医療的ケア児や小児がん患児などの在宅医療を必要とする小児を対象とした“小児の訪問看護ステーション にこり”と “こどもデイサービス にこり”での活動をもとに、現在は相談支援、居宅介護、福祉有償運送などの各事業に加えて、喀痰吸引研修機関、介護職員初任者研修施設としての登録、保育所等訪問事業を通して包括的な支援を行っています。2020年からは産後ケアステーションにこりを開設し、子育て支援を通して産後うつや乳児虐待の予防にも取り組んでいます。
全国には約2万人の医療的ケア児と呼ばれる子どもたちがいます。でも「医療的ケア児」がその子の名前ではなく、その一人ひとりに家族がいて、物語があります。そして、医療ケアが必要でも、余命を宣告されていても、こどもたちは日々成長します。その子どもたちのそばにいる私たち看護師は、その日々の育ちを支えることが大事だと考えています。子どもたちが「毎日楽しく過ごしたい」と自分の意思を決定するためには、その決定をするための、選ぶための様々な経験が必要なはずです。医療ケアの必要な子どもたちが、街に出る時のハードルはまだまだたくさんありますが、医療が必要でもそうでなくても、同じ景色が見られるような、ケアに留まらない関わり、子どもたちが新しい経験をするサポートができるように心がけています。
医療的ケア児支援法案が成立し、これから社会制度が整っていくことが期待されます。しかし、環境が変わることを待っていたら、今目の前の子どもが見ようとしている景色はもう二度と見られないかもしれません。足台を作ったり、抱っこしたりして、目の前の子ども達と新しい景色を見ようとすることを続けたいと思います。
↑ 福岡県医療的ケア児在宅レスパイト事業を利用してお出かけ。福祉有償運送車両を利用。
できないって決めないで。どうしたらできるかを考えて行動していきます。