ドクター&ナースのつぶやき


                              令和5年7月号


     暴力とハラスメント

訪問看護ステーションスマイル 
管理者  境 としみ 

 こんにちは。訪問看護ステーションスマイルの境です。当事業所は大牟田市の中心地に位置し、職員は看護師4名(病院兼務1名)、作業療法士2名、病院兼務事務1名の7名で、地域の方が住み慣れた場所で自分らしく生活する為にあたたかい看護を目指し日々取り組んでおります。今回、ハラスメントについて考える機会を頂きました。
 テーマの「暴力、ハラスメント」の定義は介護現場における職員への権利侵害と認識すること」記載されています。以前受講した研修で、「男性の1人暮らしの方の所に夜間に緊急で訪問する事に抵抗はないですか?」と問いかけがありました。その時は「緊急であり困っておられるから何とかしなくては。」と訪問看護師としての使命感が先になり、訪問への抵抗は感じなかった様に記憶しています。しかし、実際に経験すると意識の変化がありました。

<事例>85歳女性 
 大腸癌によるストーマ造設後、ADLはほぼ自立。市営住宅に主介護者の息子様(無職)と2人暮らし。ディサービス週2回利用。ストーマ処置は息子様がされておられ、訪問看護はストーマ管理、全身管理の為に週2回導入されました。
 訪問当初は問題ありませんでしたが、次第に毎回ではありませんが、息子様よりわいせつな発言がみられるようになりました。事業所では毎回カンファレンスを行ない、対策として訪問中は息子さんとの距離を保つ。防犯ブザーの携帯を行い、いつでも携帯から電話できるように準備する。訪問した看護師にわいせつな言葉があれば「お母様のケアに来ていますから、その話は必要ないと思います。」と毅然とした態度をとる事もありました。(今思えば勇気の要る行動だったと思います。)
 又、訪問当初から利用者様の腕に内出血痕があり、原因を尋ねると転んだと返答。腹部にも同じような打撲痕が見られるようになりました。わいせつな言葉や内出血痕のあった際はその都度ケアマネへの情報提供を行なっていました。最終的には関係機関、行政との会議が開かれ介護虐待に値するのでこれ以上本人に被害が及ばないようにと、利用者様の身の安全の為に施設への入所となりました。

 どこまでをハラスメントと思うか、職員個々の捉え方の違いで、自分のケアが未熟だから…。利用者様との人間関係を壊したくないから…。などと我慢して抱え込むことのないように、研修やカンファレンスを通して、暴力・ハラスメントを許さないと言う意思表示、基本的な考えの共有、職員一人ひとりが訪問時の危険を予測し、日頃から心構えを持つこと大切だと思います。

 事前の対応としては、契約時、初回訪問前の情報収集及びアセスメントを行う。利用者様への契約書、重要事項説明書に明記し、説明を行う。又、職員がいつでも相談でき、対策を考え対応ができるよう努め、安心して働ける環境づくりを行なっていきたいと思います。

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