ドクター&ナースのつぶやき

 

平成28年6月号

地域に必要とされる訪問看護ステーションを目指して



嘉麻赤十字訪問看護ステーション 森山 英美


 嘉麻赤十字訪問看護ステーションは、嘉麻市の山田地区にある嘉麻赤十字病院併設の事業所です。平成9年に開設され、看護師5名で運営しています。嘉麻市を中心に、飯塚市、田川市、田川郡、嘉穂郡の事業所から車で30分圏内を訪問地域とし、24時間体制で走り回っています。
 嘉麻市は高齢化率が35,1%と高く、「2025年問題」先取りの地域です。当事業所の利用者様も高齢者の独り暮らし、老老介護の世帯が急激に増えてきていて、介護問題は深刻です。介護される方の心身への負担、経済的な負担も増え、介護保険だけでは太刀打ちできないことが多くなってきています。特に経済的な問題は大きく、使いたいサービスを使えないだけでなく、使わないと生活が成り立たないけれど支払いができず使えないケースがあり、私達はあの手この手で対応を考えています。その中で、最近痛感することがあります。同居していない家族、親戚、知人、お隣やご近所の方、よく利用する商店の方などその方たちの、お気持ちで動いてくださる支えがあってこそ、利用者様の在宅生活を続けることができるということです。保健師やケースワーカー等行政とも連携をとることも多くなっており、今後も利用者様のそれぞれのネットワークをよく把握して、関わっていくことが在宅生活を続ける鍵であると考えています。
 また、利用者様の疾患で多くなってきているのが、認知症と悪性腫瘍です。最近は認知症の方の独り暮らし、80~90代で抗癌剤治療を外来通院で続けられる方など状況はさまざまで、訪問看護に対するニーズも多様化しており、一人一人の「どのように生活したいか」「どのように生きたいか」という思いに寄り添い、日々満足のいく看護サービス提供に努めています。
 嘉麻赤十字病院は在宅療養支援病院で、訪問看護、居宅支援、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションの4つの事業所の在宅部門を持っています。レスパイト入院の受け入れもしていて、当院が主治医でなくても受け入れが可能であるので、介護者の介護疲労や社会的な理由で利用される方が増えています。同じ建物の中で連携が図りやすく、病院と在宅部門で、情報共有や連携を密にし、地域の皆様の在宅療養を支援する役割を担っています。その中で、当事業所は、利用者様の半数は、外部の居宅支援事業所や医療機関からの紹介であり、より地域に密着した働きをしていく必要があると感じています。
 当院の看護部のスローガンが、目指せ!「時々入院、ほぼ在宅」です。在宅生活も入院生活も地域の方が、安心して任せていただける訪問看護ステーションとして、今後も努めていきたいと思います。

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