ドクター&ナースのつぶやき

 

平成28年9月号

直方鞍手医師会
(医)山近内科医院 山近 仁


○直方鞍手医師会訪問看護ステーションの紹介

 
 直方鞍手医師会訪問看護ステーションは、平成7年に誕生しましたので、活動を開始してもうかれこれ20年になります。直方市と宮若市を中心として医療・保健・福祉との連携を図り、地域に根ざした看護サービスを提供してきました。平成17年にはケアプランサービス、その後はヘルパーステーションを併設して現在は、介護三事業一体の事業所となっています。
 現在、訪問看護ステーションは、常勤の看護師5名、非常勤の看護師4名および事務職1名の計10名で24時間対応の活動をしています。当ステーションの訪問看護利用者の数は45~50人/月、訪問回数350~450回/月で推移しています。その中には、24時間利用者や看取りの患者さんもありかなりハードな状況でしたが、最近の問題はスタッフの離職と利用者の減少があります。スタッフの離職の一因は労働条件の厳しさがあるようです。
 また、利用者の減少は、在宅から入院になったり、不幸にもお亡くなりになったりすることも一因ですが、当ステーションは訪問リハビリがないための利用者離れもあります。今後は、リハビリスタッフを採用して利用者の獲得をしなければならないと思っています。利用者の減少は少なからず経営を圧迫しい直結してきますので、今後に向けての経営努力の必要性を痛感しています。


○訪問看護ステーションの現状と今後の課題

 
 近年、急性期病院においての早期退院と在宅医療推進の取り組みが推進されてきています。また、住民の方も、自分の介護が必要になった場合は、住み慣れた自宅で、家族もしくは外からの介護サービスを利用しての療養生活を送りたいという要望も増加してきています。家族のみでの自宅介護はかなりの負担を強いることになりますので、訪問看護のニーズに応えるために訪問看護の事業所の開業数が増加してきています。直鞍地区においても従来は6カ所のステーションであったのが最近では11ステーションとほぼ倍増になっています。
 事業所の増加は利用者の奪い合いにもつながります。しかし、事業所の数が増加してきたのにもかかわらず、実際に訪問ケアを実施する看護師が不足しているのが現状です。全国的にみても看護職員は150万人位いるのですが、訪問看護で働いている人は3万人しかいないといわれています。これからの高齢化社会に向けて訪問看護職員がもう少し増えないと、今後の在宅医療を支えることはできないだろうと思います。
 職員数の伸び悩みの原因としては、早期退院により医療依存度の高い利用者が増えたこと、一人で訪問看護をするために責任が重くなること、24時間対応など労働条件が厳しくなっていること、その割には介護報酬の改定などで事業所の経営も厳しく賃金が少ないことなどがあげられると思います。また、看護職員の不足は訪問看護のレベル低下の要因にもなると思われます。
 今後は訪問看護師のスキルアップ、質の高い訪問看護、多職種との連携などの多くの課題と向き合い、より良い訪問看護を目指して努力していかねばならないとい思っています。

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