戸畑区医師会訪問看護ステーションは、H7年に開設。現在利用者の方は95名前後で、常勤看護師4名、非常勤看護師7名、事務員1名が勤務しています。私たちの勤務地である戸畑区には、福岡県夏の三大祭りである博多祇園山笠・小倉祇園太鼓と共に並ぶ、戸畑祇園山笠があります。戸畑祇園山笠は、平成28年11月30日にユネスコの無形文化遺産に「山・鉾・屋台行事」を構成する行事のひとつとして正式登録されました。『ヨイトサ!ヨイトサ!』のかけ声で戸畑の街を豪華絢爛に走る提灯大山笠は圧巻の美しさです。毎年7月の第4土曜日を挟む3日間、競演会には10数万人程の観衆が訪れています。皆様も幻想的な戸畑の夜を楽しんでみませんか?!
さて、改めまして、当ステーションの紹介をいたします。利用者の方は、0歳から104歳の方がおられます。実は、管理者の私自身が19年前27週938gの低出生体重児(長男)の出産経験があり、小児訪問看護の必要性を切に感じており、当ステーションでは15年前より小児訪問看護を積極的に取り組んできました。私の子供が、NICUに入院していた頃、「子供の命は助かるの?!・・」「今後ちゃんと成長できるの?!・・」など不安で、不安でたまらなく過ごしていた日々が続き、悩んでいた私に、NICUの担当新人看護師さんが、『お母さん、私と交換日記をしませんか?』と始まったやり取りがあります。その中で、不安や心配だった自分の気持ちを記述したとき、息子の言葉で、『僕は、大丈夫!!がんばっているからね!』と写真付きで、担当看護師さんから息子の代弁で返事が返ってきたことがあります。その時、私は自分の身体から力が抜け、それまで張り詰めていた心が急に楽になった事を覚えています。私は自分の子供でありながら、ただ外から眺めるだけの存在で、息子と心が通じ合っておらず、息子の声が聞こえた時、素直愛情が芽生えた瞬間でもありました。その経験こそが、今の私の小児訪問看護の原点でもあります。母親の愛情の構築はとても大事と感じ、また当ステーションは療育的かかわりも大切にしています。カンファレンスでは、児のみならず 両親、兄弟姉妹の心に対する関わり方などディスカッションし支援につなげています。
小児訪問看護における地域包括ケアにおいては、患児を取り巻く様々な関係者との連携。月に1回、校長室で教育者と医療者の課題や問題点の意見交換を行い、行政から特別支援校を勧められた方が、公立の小学校に通うことの出来た事例や、また意識のない呼吸器装着を受けている児の母親から『この子は子供の声に良く反応するのよ!』と情報があれば、飛び込みで近くの幼稚園に出向き、その子の名前を大きく呼んでもらうような歌を歌ってもらい、テープに吹き込むお願いをしたりした事もあります。また命の危機と診断のある児では、母親の了解のもと、通っていた学校の校長先生に、私自身は面識もないのに卒業証書を1ヶ月前倒しに渡して欲しいと無茶なお願いをした事もあります。卒業証書に番号を付けることはできなかったのですが、本人に直接渡すことが出来ました。私の周りには、行動を起こすことで沢山の方が手助けして頂けています。そしてその方々に、とても感謝しています。これぞまさしく小児訪問看護における地域包括ケアシステムの構築ではないでしょうか。
最後に私は、宝塚歌劇団の大ファンです。事業所の私の机の上には憧れのトップスターの写真を置いています。私はその写真から日々元気をもらい、癒され仕事を頑張っています。
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