ドクター&ナースのつぶやき

 

令和2年3月号

こんにちは‼ 訪問看護ステーションかまだです

 春暖の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと・・・存じません(泣)。
  例年でしたら桜の開花に胸躍らせる季節ですが、2020年はコロナウィルスの恐怖に怯えながら春を迎えることとなりましたね。
  訪問看護ステーションかまだは、医療法人仁正会 鎌田病院が設置母体の訪問看護ステーションです。23年前当時の事務長に「久保山ちゃんお年寄り好きでしょ?」と声を掛けられ「はい」と返した瞬間、私は訪問看護師のレールに乗っかり、長い長い手探りの旅が始まりました。
  すぐに開設間もない訪問看護ステーション「くるめ」へ単身1週間通い修行をさせて頂きました。最終日には感涙を抑えることができないほど「看護のぬくもり」を体験できたことを覚えています。その後、訪問看護師養成講習会を受講し、多くの学びとありがたい人脈を得ることができました。
  しかし、いざ出陣!と意気込んではみたものの、全てが未知の世界。診療報酬、各書類作成、記録(報告書・計画書・レセプトもまだ手書きの時代です)・・・手探りの日々が続きました。(いまだに手探りは継続中)

  訪問看護について大阪大学大学院 人間科学研究科の村上康彦教授のお言葉に「話を丁寧に聴く。報酬に反映されないところに本来の看護の仕事があるのではないか。」とありますが、まさにその通りだと思います。
  生後1ヶ月で退院となり保健師さんからの依頼で訪問看護を開始したAちゃんは、ホッツ装着によりミルクを飲んでいただくのですが、うまく飲めません。北九州までお母さまに受診同行させて頂き(2回共雪の日でした)主治医より装具装着指導を受けました。とても優しく熱心な先生は、ご自分の携帯番号をお母さまと私に教えてくださり「いつでもどうぞ。」と言ってくださいました。この一言に大きな感動を覚えました。
  Aちゃんのお宅へベビー体重計(我が家で25年前まで使用していました)を抱え通いましたが、体重は増えることなくお母さまのモチベーションも下がるばかり・・・保健師さんとの同行訪問で乳児院への入所が決定し、ホッツ装着指導へ(またまた遠い)。児童相談所の会議で意見を求められ、まさに無報酬の時間の連続でした。
  しかし「これが私の仕事なんだ。院内では経験することのできないことが訪問看護ではできる。」と多職種連携の必要性をしみじみ感じることが、いつしかやりがいへと変わっていました。

  私がライフワークとして楽しんでいる事は、看護学生の実習受け入れです。ここでしか体験できないことをひとつでも多く学んでいただきたいと思い、当法人敷地内の「鎌田病院ディサービスセンター」での看護や、居宅介護支援事業所「まごころプランかまだ」の介護支援専門員による講習をスケジュールに組み込んでいます。机上で得ることが困難な、介護保険の現場での現状を学んで頂くのが目的です。
  学生さんが「私も訪問看護師を目指します。」と感動の涙(だと、私は思っています)で実習を終えられた時の喜びはとても大きなものです。「この子達は社会に出ると、すぐに私のお給料を追い越すのだ。頑張らないと許さないから!」と複雑な心境を胸に秘めながら看護人材の育成に繋がればと取り組んでいます。

  私たち高コストの看護師がなぜケアプランに位置付けていただけるのでしょうか?ここが大事ですよね。同じ入浴介助でも訪問介護とのコストの違いは、専門職としてのスキルを持ちアセスメント出来ることです。訪問介護士さんから「看護師さんに入ってもらって良かったです。私たちも安心です。」と言ってもらうと俄然やる気が出ます。私は訪問介護士さんのように細やかな心配りと家事スキルで生活を支えることは真似できません。「ヘルパーさんってすごいよね。」ってスタッフ間で話題に上がることもよくあります。利用者様の在宅継続を目指し多職種間で「その道のプロ」を尊重する気持ちを持っていたいと思います。

  ここまで22年間、穏やかに楽しく訪問看護を続けてこれたのは、誠実なスタッフと純朴で心優しい利用者様とご家族の皆様、澄んだ空気、渋滞も一方通行もない恵まれた環境のおかげです。今後は苦手なICT化・災害対策・ACP・包括的な支援を行うための訪問看護ステーションを基盤とした多角経営など、取り組むべき課題は山積みですが、そのへんは若いスタッフに任せて(笑)サービスの質の維持向上を目指します。

  まだまだ世間様に周知していただけていない訪問看護。「訪問介護のかた」とよく間違われますよね(当院スタッフにさえも言われ凹みます)ここはひとつ!石原さとみさん頼みで「訪問看護師行ってきま~す」なんてドラマで啓発が一番だと思うのですが。

  世の中ついにパンデミック到来の新型コロナウィルス(正式名称 COVID-19)の話題で持ちきりです。WHO事務局長は「恐怖と、誤った情報が最大の敵だ」と強調されていますが、この状況を恐怖と感じずにはいられないですよね。少しでも早く終息し東京オリンピックを観戦する日が(行く気満々)訪れますよう祈るばかりです。

                      福岡県嘉麻市中益420番地1
                      医療法人仁正会 鎌田病院
                      訪問看護ステーションかまだ
                       管理者  久保山 博子
                       電話:0948-57-3866
                        FAX:0948-57-3561

ページの先頭へ