ドクター&ナースのつぶやき
令和2年7月号
くおーれ訪問看護ステーションについて
はじめまして。くおーれ訪問看護ステーションの山本です。当ステーションの紹介を始める前に、今現在、世界的に流行しているCOVID-19の猛威、蔓延によって亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表します。また最前線で医療に携わるすべての医療関係の皆さまに心から感謝と敬意を表します。
それでは、くおーれ訪問看護ステーションについてご紹介させていただきます。当ステーションは嘉麻市を拠点に精神障害者の訪問看護を中心としたステーションで筑豊地区全域を対象に日々奔走しています。2018年5月に開所し早3年目に突入しました。これまで紆余曲折ありながらもなんとか現在に至っています。現在は私を含め、看護師4名、准看護師兼事務1名、作業療法士1名で実働しています。
ステーション名の『くおーれ』とはイタリア語でcuore“心”という意味です。イタリアは世界に先駆け精神科病院を全廃し、精神障害者を地域でケアした精神保健医療の先進国であることに感銘を受け、その心を引き継ぎ地域の精神保健医療福祉に貢献し、心のこもった精神看護をしたいという思いから命名しました。当ステーションの理念は『私たちは“心の病”を抱えた人やその家族が、住みたい場所・住み慣れた場所でその人らしく生活を続けられるように“心をこめた訪問看護・生活支援”を提供する。』とし、看護のみにとらわれず、その人、その家族の生活すべてをひっくるめて支援をしたいという思いを込めています。
精神障害は、その症状により日常生活や対人関係に支障を生じ『生活のしづらさ』、『生きづらさ』を抱え孤立してしまいます。さらに精神障害への偏見や差別もまだまだ根強く残っており、それらがさらに精神障害者の生きづらさを助長しています。そこで私たち訪問看護は精神障害者がその人らしく生活ができ、さらに自立していけるように日々の訪問看護に勤しんでいます。
実はステーションのある筑豊地区は精神科病床のとても多い地域です。私は長年、単科の精神科病院に勤務してきました。その中で社会的入院と呼ばれる長期入院を余儀なくされている方、入退院を繰り返す方を目の当たりにし、地域での支え手となる支援者が必要だと感じ、さらに地域に出れば治療に繋がらず引きこもりとなっている方やどこにも相談できず家族だけで支えている方など、まだまだ多くの方が支援の手が必要としていることを痛感しました。そのような方々に少しでも必要な医療、支援が行き届くようにこの地にステーションを立ち上げました。しかし訪問看護だけでは支援の限界があり、病院や行政、福祉サービス等、地域とのネットワークが重要で必要不可欠です。そのようなことを常に意識しながら職員全員で日々の訪問看護に努めています。
また在宅看護で必要なことは本人だけではなくご家族へのケアやサポートであり、家族が共倒れしない、家族も癒されることが大切だと考え家族支援にも力を注いでいます。私たちにできることはわずかなことですが、まずは訪問看護を通して利用者さんやご家族が健康を取り戻し障害者としてではなく一生活者として、その人らしく生活していけるように今後も訪問看護・生活支援を行っていきたいと思います。
最後に、私事ですが精神看護専門看護師として日々の訪問看護だけではなく、他支援者や他機関からの相談、講演なども引き受けています。何かありましたら、ご遠慮なくお声かけください。今後ともくおーれ訪問看護ステーションをよろしくお願いします。
長文になりましたが読んでいただいてありがとうございます。
くおーれ訪問看護ステーション
福岡県嘉麻市山野135-137
コーポカトレアA号室
TEL:0948-52-6752 FAX:0948-52-6753
MAIL:cuore.2018.5.1@gmai.com
管理者兼精神看護専門看護師
山本智之