ドクター&ナースのつぶやき
令和2年12月号
柏愛会訪問看護ステーション
管理者 木下 希実
柏愛会訪問看護ステーションは今年の5月で3年を迎え、今4年目を爆走中です。
子育て真っただ中のスタッフで構成されており、育児と家事を両立し、スタッフみんなで支えあい相談しあいながら楽しく仕事をしています。最近はコロナ禍のため、めっきりご無沙汰になっていますが、飲み会は子連れ参加OKにしているのでお互いの子どもたちの成長を目の当たりにして、「私たち年取ったなぁ。」と実感している状態です。看護師5名と作業療法士3名の小規模のステーションですが、事業所所在地である博多区浦田周辺はもとより、スタッフの居住地に近い春日市・那珂川市付近まで広範囲で対応しています。特に自宅から20分圏内では24時間の緊急対応も実施しています。
この3年間で多くの利用者様の看取りに立ち合いました。50代の方から90代後半の方まで様々です。特に印象に残っている利用者様は、胃癌末期でありながら約1年間関わらせてもらった私たちと同世代の男性です。介入当初はふらつきながらも歩行できており、電動車椅子で外出も頻繁にされていましたが、徐々に足腰に力が入らなくなったことで自力での移動も困難になり、さらにそれさえできなくなってしまいました。本人の希望は何なのか、自宅で過ごすことで何がしたいのか、何度も何度も話し合いをしました。希望を聞くと、「できる限り家にいたい。両親と過ごしたい。でも最後は親がきつかろうけん、病院で死にたい。」と言われますが、自宅で終わりを迎えたいという気持ちと、そのことで親に迷惑をかけたくないと気持ちが常に混在しており、その葛藤に苦しんでいるようでした。オムツ交換が自分でできなくなり、両親への介護負担は更に増大しました。その中でも本人からは「入院する」との発言はありませんでした。私たちも希望通りの看取りができなくなる可能性があることも考え、泣きながら話し合いをしたこともあります。徐々に疼痛が増大し、自力での動作が緩慢となってきていました。急に連絡不通となり訪問した際には、意識が混濁されており「入院したい」という言葉も発することができない状態になっていました。結局、鎮静剤の点滴もなかなか効かず最後の最後まで疼痛と戦ったままご逝去されました。担当のリハスタッフもかけつけ、エンゼルケアも一緒に行いました。職種に関係なくスタッフ全員が利用者様を大事にしていることに気づき、また疼痛コントロールの難しさや本人の希望や望みを全て叶えること・理解することの難しさを学ぶことのできる出会いでした。
訪問看護の仕事に携わり、多くのことを学びながら成長しています。利用者様はもちろんですが、見守り支えていくご家族へも配慮する必要があること。また、知識や技術のみでなく、人との関わりは常に感謝の気持ちがないとうまくいかないことなど。これからも自分と自分の家族、スタッフとスタッフ家族への感謝と信頼、そして利用者様とご家族への感謝と寄り添う気持ちを忘れずに頑張っていきたいと思います。
柏愛会訪問看護ステーション 管理者 木下 希実 福岡市博多区浦田一丁目11番15号 TEL: 092-513-0626 |