ドクター&ナースのつぶやき
令和3年4月号
コロナ禍における訪問看護ステーションの取り組み
九州がんセンター訪問看護ステーション
管理者 竹山由子
TEL:092-555-5102
〇事業所紹介
九州がんセンター訪問看護ステーションは、2018年7月に開設しました。がん患者さんの治療期から終末期までをサポートする、がんに特化した訪問看護ステーションで、5名の看護師が勤務しています。
九州がんセンターは、九州で唯一のがん専門病院で、最期まで治療を継続することを希望し入院している患者さんが多くおられます。治療の手立てがなくなった時に慌てて家に帰ることを選択されることも多く、患者さんやご家族が、見捨てられ感を持つことなく病院から在宅への移行がスムーズにできるようサポートすること、そして様々な治療が行われるようになった今、異常の早期発見に努め、安全にがん治療を継続することができるようサポートすることが、九州がんセンター訪問看護ステーションの役割だと思っています。
今はまだ、がんセンター通院中の方がほとんどですが、がんの診断を受けた方であれば訪問させていただきますので、お気軽にご相談ください。
〇コロナ禍の対応
まず、緊急事態宣言が出されたときに、利用者の方に書面にて訪問頻度について確認させて頂いています(通常通り・訪問回数を減らす・電話訪問に切り替えるなど)。その上で訪問させていただく場合、以下のように対応しています。
1.出勤前自宅での体温測定・体調確認
2.訪問時の手洗い、マスクとエプロンの装着
3.利用者のマスク着用
4.清拭・入浴介助・おむつ交換やストマ介助の際はゴーグル着用
5.ケア終了時の手洗い
6.訪問車や訪問バックのアルコールクロスでの拭き上げ
7.ステーションに戻っての手洗いとうがい
8.ユニホームの毎日の交換
9.出勤後、訪問前後、勤務終了前など頻回な体温測定
その他、各デスクの横と前をアクリル板で仕切る、隣り合わせでの食事をしない、体調不良時は出勤しない、など当たり前のことがきちんとできるよう各自気をつけています。またこの時期にスタッフ間の接触を減らすため、自宅からの直接訪問や訪問先からの直接帰宅のマニュアルを整備しました。近隣の訪問看護ステーションとも、状況に応じてサポートし合うことを確認し合っています。
母体が九州がんセンターであり、マスクや消毒液がなくて困るということはありませんでした。スタッフの家族が濃厚接触者になった時などは、病院内でPCR検査を受けることも可能でした。現在は毎月唾液によるPCR検査を受けています。スタッフのワクチン接種も終了しました。判断に迷うことがあれば、院内のICTに相談し対応することができ、非常に心強く感じています。
〇今後の方向性
コロナ禍で面会が儘ならない中、ご家族が病状など十分に把握されていないこともあり、在宅に戻られて一つ一つ説明していくことも多い状況です。今後、在宅での療養を希望される方が増えてくると予想され、結果的に在宅看取りになることも多いと思います。一人ひとりがQOD(クオリティーオブデス)を考える時代になってきました。在宅で行う意思決定支援の重要性を実感しています。「最期まで、住み慣れた自宅で、自己決定を行いながら、いきいきと生活する」ことを支えることが、私たち在宅で仕事するものの役割だと思っています。その人らしく生ききることに寄り添う訪問看護ステーションを目指して、努力していきたいと思います。