福岡県訪問看護ステーション連絡協議会 > 会員専用 > 会員専用ページ > Q&A > 平成24年度法改正に伴う訪問看護師の責任と役割 Q&A

平成24年度法改正に伴う訪問看護師の責任と役割 Q&A

平成24年度法改正に伴う訪問看護師の責任と役割 Q&A
                            

PDF版はこちら(会員専用)

Ⅰ.事業所間・職員間の連携について
 1. 訪問介護事業所等の登録特定行為事業者について

Q: 24年4月以降、事業所が登録をしないと、現在、喀痰吸引等を行っている介護職員等が認定特定行為業務従事者になったとしても吸引ができなくなるのか。
A: 事業所が登録しない場合は、当該介護職員等が認定特定行為業務従事者であっても喀痰吸引等は実施できない。
Q: 不特定多数の登録特定行為事業者として登録申請すれば、特定の者も対象となるのか。
  A: 対象となる。事業者の登録については不特定多数/特定の者といった区分は設けていない。ただし、認定特定行為業務従事者については、研修修了等の相違によって、不特定多数の者対象、特定の者対象が異なってくる。

 2. 訪問看護ステーションと登録特定行為事業者の間の連携について

  Q: 指導看護師(実地研修の場等において介護職員を指導する者)のいる事業所は、登録研修機関になる必要があるのか。また、指導看護師が事業所にいない場合は、登録特定行為事業者と連携することができないのか。
  A: 訪問看護ステーションが日々のケアを提供する上で登録特定行為事業者との連携事業所となることと、登録研修機関の一端を担うか否かは分けて考える必要がある。また、必ずしも訪問看護ステーション自体が登録研修機関になる必要はないが、都道府県又は登録研修機関から実地研修の委託を受け、研修の一環として指導を担う場合がある。 
  Q: 登録特定行為事業者と連携を図る訪問看護ステーションに要件はあるのか。
  A: 特に訪問看護ステーション側の要件はない。
  Q: 登録特定行為事業者との連携について、訪問看護ステーション側は断ることはできるのか。
  A: 訪問看護ステーション側の体制整備等の状況を鑑み、安全な医行為実施のための連携体制の確保が明らかに困難と判断される場合等を除いて、喀痰吸引等が必要な障害者等が地域に於いて適切なケアを受けられるよう積極的に連携していただきたい。
  Q: 訪問看護ステーションと登録特定行為事業者は契約を交わすのか。
  A: 事業所間の契約を交わす、あるいは文書による取り決めを行う。
  Q: 契約書の内容に規定や雛形はあるのか。
  A: 契約書等は登録特定行為事業者で案を作成し、訪問看護ステーションと協議する。
  Q: 2ヶ所以上の登録特定行為事業者が利用者に訪問している場合は、訪問看護ステーションはどちらの事業者とも連携をする必要があるのか。
  A: どちらの登録特定行為事業者とも連携する必要がある。
  Q: カンファレンスの開催主体は誰か。
  A: 登録特定行為事業者が主体となって開催する(在宅の場合には、利用者毎に医療関係者を含めた定期的なケア・カンファレンスを実施する)。
  Q: 訪問看護を利用していない利用者の場合、登録特定行為事業者から訪問看護ステーションに連携の依頼があった場合、どのように対応すればよいのか。
  A: 訪問看護を利用していない場合、主治医から訪問看護ステーションに指示書を出してもらい、連携することを検討する。

 3. 医師と介護職員等との連携について

  Q: 医師の指示書は具体的には、どのように出されるのか。
  A: 医師から登録特定行為事業者に指示書が出される。
  Q: 医師と介護職員等の間の計画書・報告書の内容は、連携している看護職員には来ないのか。
  A: 計画書・報告書は、医師と登録特定行為事業者の間でやりとりされるものである。しかしながら、登録特定行為事業者の登録要件として、医師・看護職員との連携の下に、喀痰吸引等の実施内容等を記載した計画書を作成することが規定されていることから、連携先の訪問看護師は、計画書作成の際に連携することが必要であり、報告書の内容についても適宜、確認することが望ましい。
  Q: 医師から指示書が出て、介護職員等が医療行為を行うことになると、介護職員等が看護職員と連携することなく、動いてしまう可能性があるのではないか。
  A: 登録特定行為事業者の登録基準として、「医療関係者との連携に関する事項(下記、参照)」が定められており、医療関係者との連携を図る必要がある。
 
医療関係者との連携に関する基準(登録特定行為事業者の登録基準の1つ)

① 介護職員等が喀痰吸引等を実施するにあたり、医師の文書による指示を受けること。
②  医師・看護職員が喀痰吸引等を必要とする方の状況を定期的に確認し、介護職員等と情報共有を図ることにより、医師・看護職員と介護職員等との連携を確保するとともに、適切な役割分担を図ること。
③ 喀痰吸引等を必要とする方の個々の状況を踏まえ、医師・看護職員との連携の下に、喀痰吸引等の実施内容等を記載した計画書を作成すること。
④ 喀痰吸引等の実施状況に関する報告書を作成し、医師に提出すること。
⑤ 喀痰吸引等を必要とする方の状態の急変に備え、緊急時の医師・看護職員への連絡方法をあらかじめ定めておくこと。
⑥  喀痰吸引等の業務の手順等を記載した書類(業務方法書)を作成すること。

 4. 看護師の役割と介護職員等との連携について

  Q: 看護師はどのような役割を果たせばよいのか。
  A: 実地研修において介護職員等を指導する「①指導看護師」と、介護職員等と日々のケアを提供する上で連携する「②連携看護職員」に分けて考える必要がある。
  Q: 具体的な連携訪問看護師の役割について
  A: 連携する訪問看護師は、登録特定行為事業者が喀痰吸引等を実施する際に、主に以下のような連携を行う(上記の登録基準に準拠)。
○喀痰吸引等を必要とする方の状況を定期的に確認し、介護職員等と情報共有を図り、適切な役割分担を図る。
○登録特定行為事業者が喀痰吸引等を必要とする方の個々の状況を踏まえ、喀痰吸引等の実施内容等を記載した計画書の作成をする際に、連携する。
○登録特定行為事業者が喀痰吸引等を必要とする方の状態の急変に備え、緊急時の連絡方法を予め定めておく際に、連携する。
○登録特定行為事業者が喀痰吸引等の業務の手順等を記載した書類(業務方法書)を作成する際に、連携する。
  Q: 経鼻経管栄養のカテーテルの挿入や確認は誰が行うのか
  A: 経鼻経管栄養のカテーテルの挿入やきちんと挿入されているかの確認は、医師・看護職員が行う。

 5. 医師と看護師の連携について

  Q: 具体的にはどのような連携方法になるのか。
  A: 医師と看護師の連携については、これまで通り変更ない。

Ⅱ.研修について
 1. 看護師の研修について

  Q: 指導者看護師や連携看護職員には、研修はあるか。
  A: 指導看護師は指導者講習を受講することがのぞましいとされている。連携看護職員は特に要件はない(訪問看護師も研修を受講して、指導看護師になることが可能)。
  Q: 不特定の者の指導者講習にかかる時間はどの程度か
  A: 特に取り決めは示されていないが、平成23年度の厚生労働省主催の研修は2日間。
  Q: 特定の者を対象とする場合の指導看護師は利用者が変わるたびに研修や届出をしなくてはいけないのか。
  A: それぞれ研修を受ける必要はない。

 2. 介護職員等の研修について

  Q: 実地研修は具体的にどのように行うのか
  A: 実地研修においては、指導看護師が介護職員に実地指導を行う。詳細については、「実地研修実施要領」参照のこと。
  Q: 実地研修の同意は、研修している介護職員等が、利用者から文書でもらえばよいか。
  A: 登録研修事業所が利用者から文書で受領する。
  Q: 研修はどこで行われるのか。
  A: 平成24年度以降は、都道府県又は登録研修機関で行われる。
  Q: 訪問看護ステーションに実地研修に来る介護職員等への指導は、指導者研修を受けていない訪問看護師も行うのか。
  A: 実地研修における介護職員等の指導は登録研修機関(委託の場合を含む。)の研修講師を担った「指導看護師」が行うことになる。
  Q: 現在、ヘルパー研修の指導を行っているが、今後指導看護師にならなくては研修を行うことはできないのか。
  A: 喀痰吸引等の実地研修で介護職員等を指導するには、指導看護師になる必要がある。その他のヘルパー研修については、従来の通りである。
  Q: 不特定多数の者を対象とする場合の指導看護師は、特定の者の指導看護師になれるか。
  A: 不特定多数の者対象の指導者講習と、特定の者対象の指導者講習は異なるため、それぞれの指導者講習を受講することが望ましい。
  Q: 特定の者対象の認定特定行為業務従事者が、不特定多数の者対象の認定特定行為業務従事者の資格をとる際には、不特定多数の者対象の研修をすべて受講しなければならないのか。
  A: カリキュラムの内容が異なるため、不特定多数の者を対象とした基本研修、実地研修をすべて受講する必要がある。
  Q: 介護福祉士の教育内容にも、喀痰吸引等が入ってくるのか。
  A: 介護福祉士については、平成24年度以降、養成課程において、喀痰吸引等の知識・技術を習得し、卒後、国家試験を受験し、合格後、登録事業者に就業したのち、実施可能となる(実地研修を修了した行為に限り可能)。
  Q: 介護福祉士の学生の実地研修はどのようになるのか。
  A: 介護福祉士養成校においても、登録研修機関において行われる実地研修と同様以上の内容で実施される。
  Q: 現在、喀痰吸引等を行なっている介護職員等は、喀痰吸引等ができなくなるのか。
  A: これまでの違法性阻却通知に基づき喀痰吸引等を行ってきた介護職員等については、特定行為ごとに必要な知識及び技能を修得していることについて、申請に基づき証明を行った上で、都道府県知事の「認定証」が交付されれば、実施可能となる。
  Q: 特定の者(Aさん)を対象として喀痰吸引等を行っていた認定特定行為業務従事者が、利用者Bさんに喀痰吸引等を行う場合、基本研修(9時間)は受講せずに、新たな利用者Bさんの実地研修のみ受講すればよいのか。
  A: その通り。
  Q: 認定特定行為業務従事者認定証には更新規定があるのか。
  A: 現時点では更新については規定されていない。 

Ⅲ.その他

 1. 責任について

  Q: 事故が起こった時に誰が責任を取るのか。
  A: 登録特定行為事業者の責任と介護職員等個人の責任、連携する各職種の責任がそれぞれの職責を果たしていたかにより判断される。なお、各責任の比重については、個々の事案によって異なることから一律に示すことは困難。
  Q: 実地研修のときに事故が起こった場合、誰が責任を取るのか。
  A: 実地研修の一義的な責任は、登録研修機関にある。
  Q: 研修修了後、現場においての教育・指導の責任は誰にあるのか。
  A: 登録特定行為事業者が責任をもって教育・指導を行う。

 2. 介護職員について

  Q: 夜間帯など、資格を持たない介護職員等がシフトに入った場合はどうするのか。
  A: 平成24年以降、認定特定行為業務従事者でない介護職員等が喀痰吸引等を行うことはできない。
  Q: 介護職員等の[等]は、具体的にはどのような職種なのか。PTやOTは含まれるの
か。
  A: 家族以外の者で、吸引については医師・看護職員(保健師、助産師、看護師または准看護師)・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を除く者。経管栄養については医師・看護職員を除く者。

 3. 全体的なことについて

  Q: 胃ろうなどからの内服薬等の薬剤注入や「気管カニューレを挿入していない場合の気切口の吸引」も認定特定行為業務従事者が行い得る行為として制度化されたのか。
  A: 今回の制度化にあたっては検討されておらず、認定特定行為業務従事者が行いうる行為とはなっていない。
  Q: 看護師又は准看護師資格を保有している介護職員の場合は、どのように対応すればよいか。
  A: 登録特定行為事業者に所属する看護師・准看護師資格を保有する介護職員は、医師の指示があれば喀痰吸引等研修を受講しなくても、喀痰吸引等を実施することができる。

【全国訪問看護事業協会より提供】

ページの先頭へ